収穫したコーヒーの実は、精製の工程を経て生豆の状態になります。生豆が焙煎されて、街のコーヒー屋さんでよく見かける茶色いコーヒー豆が出来るんですね。
精製方法は、主に4つの手法がよく知られています。
ナチュラル(自然乾燥式)
ナチュラルは昔から伝統的に行われている手法で、広場などに収穫した実を薄く広げて天日干しにして乾燥させます。
この方法は、特にエチオピアやブラジルの一部地域など、水を使うのが困難な地域で重宝する精製方法になります。
一般的には、この方式で精製されたコーヒー豆の品質は低いとされていて、あえてナチュラルで精製する生産者は少ないのですが、中にはこの方式で高品質なものをつくる生産者もいます。
最近では同じ銘柄でもナチュラルとウォッシュトの両方を販売しているお店も見かけますね。果肉をつけたまま乾燥させるので、うまく精製すればフルーティな仕上がりになります。
ウォッシュト(水洗式)
ナチュラルでは残ったままのミューシレージ(ヌメり)を完全に取り除いてから乾燥させるため、苦味、渋みのないクリーンな仕上がりになります。
工程としては、まず収穫した果実を水槽に入れ、完熟の実と未熟のものを選別します。
その次に、実の外皮と実の大部分をパルパーという機械で取り除くパルピングという工程を行います。パルピングを終えた種は水の入った発酵槽に入れて発酵させることで、種の周りに残った果肉を取り除きます。
その後、よく種を洗浄して、不純物を取り除くとパーチメント(内果皮)が豆を覆った状態のパーチメントコーヒーになります。
水を入れた発酵槽で発酵させる方法だと大体8~12時間ほどかかりますが、機械を使ってミューシレージを強制的に除去する方法もあります。
乾燥もナチュラル(自然乾燥式)のように、天日干しにする他に、機械を使って乾燥させることもあります。
ウォッシュトは工程数も多く、水を大量に使ったり、機械設備も必要になってくるので、ナチュラルよりコストの高い精製方法ですが、これだけの条件を整備することができれば、安定して高品質の豆を提供することが出来ます。
パルプドナチュラル
収穫した実の果肉を取るまでの工程はウォッシュトと一緒ですが、ミューシレージは除去しないまま乾燥の工程に入ります。この製法をとることで、総じて甘みの増したコーヒー豆に仕上がるとされています。ミューシレージを除去する工程が省かれるので、使う水の量もウォッシュトより少なくて済むメリットもありますね。
ナチュラルとウォッシュトの良いところを取り入れたこの精製方法は、2000年ごろにブラジルのピニャレンセ社が始めたことによって広まっていったものなので、製法としては比較的新しいものになります。
スマトラ
少し特殊な精製方法としてはスマトラと呼ばれるものがあります。その名の通りインドネシアのスマトラ島で行われています。
この製法の一番の特徴は、一度乾燥させたパーチメントを水分がまだ多く含まれた状態で脱穀し、生豆にしてしまう点にあります。これにより豆の色は深緑になり、弱い酸味と強いコクが特徴の独特の風味に仕上がります。
デメリットとしては、早い段階でパーチメントを脱穀してしまうので、商品として問題のある欠点豆の発生が多くなるリスクがあります。
スマトラは少し特殊なので例外として、他の3つの精製方法では、乾燥させたパーチメントコーヒーを脱穀する前に30~60日ほど熟成させます。その後脱穀し、ようやく生豆の状態までたどり着きます。